2019年8月26日-2019年8月31日
Naoki Hida Exhibition2019
ギャラリー白kuroにて 日田直希 展
Title:花束を君に タイトルから察する人もいるかも知れません。多分、宇多田ヒカルさんの歌を思い浮かべると思います。制作の足掛かりを戴きました。宇多田さんの歌「花束を君に贈ろう」というフレーズは、亡くなったお母さん藤圭子さんに贈った言葉だと言われています。普段の生活で誰かに花束を贈った経験がある人は多い?と思います。私も母に毎年、カーネーションを贈りますが。何か世間の切っ掛けが無いと花束を買うという行為は日本人には気恥ずかしい瞬間であるかもしれません。特に「薔薇」という派手な花だと、50本や100本を買う/貰う行為は尚更かも(笑)一瞬の美しさや儚さ、高揚感という事でいえば、薔薇が生花で100本、記憶にも鮮明に残る行為だと思います。また、その後もドライフラワーなどに加工しても楽しめるかもしれません。しかし、私は今回、ただの植物ではなく「造形物」として、普段の生活空間を新たに彩るインテリア的役割を持つ造形作品としての可能性に挑戦しました。この作品は生花の持つインパクトにプラスして、さらに長時間性を持たせる事が出来ればと思い作品の「初動」としました。
動機は大切な人、愛しい人に「花束を贈る」という行為、行動を表出したものです。また、作品の中心的な意味として「時間」という意識が重要な意味を持つのでは?と考察しました。レジンに封入したプリサーブドフラワー、それ自体は乾燥加工されていて生の花よりは長い時間その姿を楽しめる作品となっています。最近はオイルに浸されたハーバリウムとして使用される事が多い素材です。その素材を今回はレジンに入れ込みました。乾燥した生花そのままの美しさを封じ込めた透明樹脂。一見として永続性をそこに見出せると思うかもしれませんが、実は逆でアクリル樹脂等とは違い、この樹脂は生まれた先から劣化します。この作品を「贈る/贈られた」所有者が作品と過ごす時間、1年後、10年度、100年後、レジンが劣化して琥珀色になる。そこには、時間を経過した空間の生活の思い出や出来事なども封じられて、作品が完成に向かうと思っています。美しさもそうですが、同時に「劣化」という時間の経過を購入者が大切と思うパートナーと楽しみを感じて頂ければ、作品として嬉しく思います。 素材:クリスタルレジン、プリサーブドフラワー、るつぼ、プライマー、木材
この作品の思い付きのヒントは、とあるBARにおいて、丸い氷の入った「ゴットファーザー」というカクテルをゆらゆらとグラスを傾けていた時に上からスポットライトが氷や琥珀液を貫通した際にグラスの下に揺らめく光がキラキラと現れた事が頭の中に印象として強く残り、今回の展示は黒い部屋を使用するのだから、何か光の仕掛けを取り入れたら?黒い部屋の中でしか味わえない作品となる可能性があるかな???という思い付きが始まりである。 「光」や「影」という印象から、どのようなモノを使えば静寂、厳か、そして光を放てば美しく神秘的な姿となるのか、同時に制作していたレジンのキューブをLED照明の上に載せてみた。エッジが光を散り込んで拡散する様にこれは可能性あるかも、と思いそれを生かす白と黒を探しました。まずはLED照明が入る箱を作成。細長いライトボックスのようなものを目指した。ただ、しかし、照明を箱に入れただけでは、光る箱であった。